当時、照明用の油は、大変貴重なものであった。
その油が最近頻発に盗まれていることに気づいた神社の神主は、
神社から物を盗むなどけしからん、誰が一体こんなことをするのかと是が非でも捕らえて、
その不届きな面を拝んでやろうと夜な夜な待ち伏せをした。
そして神主の信心がとどいてか、
ある晩何も知らない油泥棒が寺から油を盗んで帰ろうとするところを、
ひっ捕らえることに成功した。
しかし神主が油泥棒の顔を見てびっくり、
それは日ごろ懇意にしている細川藤孝だったからだ。
神主が、
「あなたがこんなことをするとは・・・。」
と絶句していると、
「私は貧乏で灯油買えないから、夜に勉強できないのです。
神様ならそんな私の心意気をわかってくれて、
泥棒と区別してくれるはずだから問題ない。」
神主はあきれ半分、感心半分で以後油を分け与えてやるようになった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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