藤堂高虎は、常日頃、家臣たちに、
「自分が嫌になったら、他に仕えても良い。
そしてそこが嫌になったら、又戻って来い。
元の禄で召抱えてやる。」
と言っていた。
そして戻ってきた家臣には、本当にそうした。
それを不思議だと思う者たちが高虎に、なぜこんなことをするのかと訊ねると、
彼はこう言った。
「家来を使うのに、禄だけでは人は信服しない。
仕えている以上、禄をもらうのは当然だ、そう思っているからだ。
人には、情けをかけて接しないといけない。
そうしてはじめて意気に感じ、命を捨てて恩に報いようとするものだ。
どんなに高名な家臣を抱えても、情けをもって接しなければ、
禄を無駄に捨てているようなものだ。」
なんとなく、彼のかつての主君、豊臣秀長の薫育を感じさせるお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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