四郎左衛門が、
「わが殿ほど清廉潔白なお方はおられぬ。」
と言えば、
兵左衛門は、
「これほど私利私欲のないお方もおられますまい。」
と言う。
彦左衛門が言うには、
「伊勢・伊賀・山城・大和の収納を予め計算し、
藩士の知行・切米・扶持がそれぞれいくら、藩費がいくら、家計費がいくら、
と定めると、その細目に至るまでいちいち予算額を立てられる。
それを超過する場合は厳しく当事者を責め、少しも見逃ぬのじゃ。」
とのこと。
さらに、
「藩士の録分に余剰があれば、有能な士を召抱えるか、精励の士に増録する。
逆に怠慢や不謹慎で士風を乱す者は追放し、新たに良き士を礼を尽くして召抱える。
そのため、皆日頃の行いを慎み、人馬・武具の貯蔵に不足しないのだ。」
と言う。
「いやいや、厳しいばかりでもござらぬ。」と彦左衛門。
「臨時に知行米に余剰が生じたら、米を一分金・豆板銀に替えられ、
それを革袋に盛って、屋敷内の大広間に小吏らを集めては、
御自らの手でそれを撒き散らして拾い取らせるそうじゃ。」
「とにかく、どんな時も藩士知行分の予算の余剰は、
御自分のことに流用されたことがない。」
と言うのは四郎左衛門。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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彼らは、主君・藤堂高虎を評して、たびたびそう語り合った。