晩年の藤堂高虎は、目が見えなくなってしまう。
そこで高虎を気遣った将軍・秀忠は、
江戸城の曲がった通路を真っ直ぐにした。
高虎は秀忠が寄こした使者からその事を知らされた。
「貴方の目が不自由なので廊下を真っ直ぐにした。
もし、まだ私に教えてくれる事があるのなら気安く訪ねてくれないか。
難儀することなく私の部屋まで来ることができるだろう、と上様は仰せです。」
高虎は感激して涙を流した。側の者はなぜ秀忠がここまでするのか不思議だった。
「将軍家はなぜここまで貴方を気遣うのでしょう。私にはわかりません。」
「さあ、わしも特別なにかやった覚えはない。
だが、わしは誰よりも早く江戸城に上がった。
そして帰るときは誰よりも遅かった。
秀忠様はそれを評価しておられるのかもしれぬ。」
そう高虎は答えた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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