藤堂高虎の軍に従軍していた藤堂高刑が、吉継の小姓の湯浅五助を発見した時、
五助はうずくまっていたので勝負してみると五助は、
「待ってくれ。今、ここに主君の首を埋めたが、
主君の面容を敵に見せるは恥辱となるので埋めたのだが、
私の首の代わりにここに埋めたことを秘して欲しい。」
と頼んだのを高刑は、
「武士の面目にかけて他弁は致すまいぞ。」
と誓い、五助の首を取った。
このことを伏せ、主君の高虎に同行して徳川家康に見せると、
「五助ほどの者が主君の行方を知らぬはずがない。
もしかしたら五助は首を隠したのではないのか?」
と聞くと高刑は、
「私は知らない事はないが、五助と他弁をしないと誓って首を取ったので、
このことはどなた様にも言えませぬ。どうぞ、私を御処分くだされ。」
と言ったので家康は、
「これほどの律儀者がいるとはな。首のありかを言えば高虎の手柄になる物を。」
と言って褒美を高刑に与えたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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