毛利輝元には、一人の娘がいた。
大名の娘である。
自家の政治的立場のため、他家に嫁がせるのが当然の存在であった。
娘も毛利家のためにと、その事はよく理解していた。
が、一人、それをたまらなく嫌がっている者がいた。
お父さんは、心配性だったのだ。
「あの娘はわがままに育ててしまって、他の家に嫁いだら、
そこのしきたりに我慢できるわけがない!
いややっぱり無理だ!
結婚なんてさせるわけには!」
姫の結婚話を切り出した毛利秀元に輝元は、そんな親バカ丸出しの手紙を出したりしている。
しかし毛利家の姫を、いつまでも独身のままにしておくわけにはいけない。
秀元が口説きに口説き、
「では、一門のものでしたら殿も安心でしょう。」
それでも渋る輝元ほっておいて、
秀元、一門吉川家の吉川広正との結婚話をさっさとすすめ、
どうにか、結婚の運びとなった。
結婚の日、輝元は娘に、
「この結婚に不満があるかもしれないけど、行儀を良くし、
吉川の家中を広正と一緒にまとめていくんだよ。
お前は気が短いから、腹の立つこともあるだろうけど、そのときは我慢するんだよ。」
と、娘を切々と心配する手紙を渡した。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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