豊臣秀吉の九州征伐、日向戦線は、とにかく極端な兵糧部速に見舞われていた。
その状況の中、毛利家の兵糧船2,3隻が、日向に到着した。
これにより大量の兵糧が補充できた毛利輝元は、
日向陣全体に向けてこのように言った。
「我らのところに多くの兵糧が到着しました。
もし、諸将の中に兵糧が必要という方がありましたら、これをお貸しすることが出来ます。
この兵糧は九州役の終わったあと、京都においてお返しいただければそれで構いません。
今回届いた兵糧のうち、5割をこれに当てるつもりです。
ご入用の方はどうぞ申請してください。」
多くの諸将は未だ兵糧が乏しかったため、
これを聞くと、日向陣のほとんどの諸侯が輝元より兵糧を借りた。
間もなく九州役が終わり、諸将が聚楽に集まった。
輝元に兵糧を借りた諸侯は皆、彼のもとに集まって、これを返そうとした。
ところが輝元、
「あの兵糧は今日このように、戦が終わり皆様が無事に集まれたことへの、
祝いの贈り物だと思ってください。」
そう言って彼らの用意した米を、一粒足りとも受け取らなかった、
とのことである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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