ある時、黒田如水が、賤ヶ岳七本槍の一人、糟屋武則を呼び出した。
如水、
「そこもとは武勇に隠れなし、近頃は老成もされてきておる。
是非ともせがれの槍の師になってはくれまいか。」
そこで武則は、
「賤ヶ岳のことは天下に知れ渡っております。今更、謙遜するまでもありません。
あの時の槍をご子息に差し上げましょう。」
と快く返答した。(槍を与える→弟子にする、ということですね。)
というわけで、早速屋敷から槍を取り寄せたのだった。
さて、二人の前に来た長政は、常々、
「自分ならば賤ヶ岳くらいの功名は、いつでもあげてみせるぜ!」
と思っていたので、
父の命令だからと頭は下げたが、槍を手に取らずにこう言った。
「古来より槍で功名をあげた人々が、師匠についたとは聞いたことがありません!」
武則は、
「こいつは槍働きというものが何なのか理解してやがる。
大手柄を立てる大物になるにちがいない。」
と思ったそうな。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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