1593年1月の平壌陥落に伴い、加藤清正・鍋島直茂も、
同年2月に撤収する事となった。
その際、清正の部下達が、各所で敵に囲まれ援軍が必要であるとの要請が来ていた為、
清正は捕虜としていた朝鮮の二王子を直茂に預け、
自身は部下達を迎えるべく出立した。
2月24日に長橋を出立し、
27日には鳳井城に着いたが、雪が深く兵卒たちが疲弊していたため、
そこで4、5日休息の為に逗留する事になった。
その間に蔵床に駐屯していた近藤四郎左衛門以下500人、
銀山城の加藤余左衛門以下500人、律青の小代下総守以下500人合わせて1500人が、
駐屯していた城を焼き払い、
自力で敵兵の包囲を突破し、鳳井城の清正の軍に合流してきた。
斥候からの情報により彼らが合流してくることを知った清正は、
大釜を沢山用意して飯を炊き、大樽から酒を移して温めさせ、
自身で握り飯を作るのを手伝いつつ、
「握り飯+干魚+熱燗一杯」
というお食事セットを1500人分用意させた。
そうして近藤四郎左衛門以下の軍が到着した際には、
「近藤四郎衛門、岡田、佐々、皆来たかな?
兵左衛門、九鬼四郎兵衛もこっちにおいで。
出田、井上、小代、大脇、長尾、お前達もここに来なさい。
去年以来お前達には本当に苦労をさせた。
まして今回皆自力で包囲を突破してくるなんて、
その武功をどういう言葉で褒めたらいいか分からない位だ。
ともあれ皆と無事再会できて嬉しいよ、まずはこれを食べなさい。」
というように声掛けしつつ、
身分の上下問わず1500人全ての兵士達に、
自ら前述のお食事セットを配り労った。
親類縁者と無事再会できた事への喜びと、
この清正の心遣いへの感動に1500の将兵達に泣かない者は居なかったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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