関ヶ原の合戦終盤。
大谷吉継隊も周囲の裏切りにより戦線が維持できなくなった。
大谷隊に属する平塚為広の支えた戦線も崩壊。
もはやこれまでと悟った平塚は、
「君がため 捨つる命は 惜しからじ つひに止まらぬ 浮き世と思へば」
と辞世を詠んで部下に自らの挙げた兜首と共に吉継の陣に届けさせた。
この後、討ち取られたとも自害したとも。
そして、この句を見た大谷吉継は、
「契りあらば 六つの衢に まてしばし おくれ先立つ たがひありとも」
と返した。
六つの衢とは仏教における輪廻の地獄・餓鬼界・修羅界・畜生界・人界・天界の事
「先に逝くぜ、兄弟。」「ああ、何処に堕ちても待ってな。必ず逝く。」
と詠み合ったのである。
もちろんこの返歌は、平塚には届かなかった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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