大筒の弾道☆ | げむおた街道をゆく

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秀吉の関東仕置きの際。
 

圧倒的な兵力で、武州忍城を囲んだ石田三成。
しかし、大勢で同時に攻撃出来ぬよう考え抜かれた忍城の縄張りに、

大軍の利を活かせず、逆に夜襲で損害を受けたり、三成自身が槍で追い掛け回されたりと、

水攻めを始める前だというのに早くもフルボッコ風味。

何とか挽回を狙う三成は大筒を牽かせ、城内に向けて撃たせた。
弾は木立に着弾、火の手があがる。
「よし! 皆の者、城に火の手が上がったぞ! 今が好機だ攻め寄せろ!」

一方城内。
「ありゃ、下忍の薬師堂の方角か?」
「はっ。薬師堂から金剛院に延焼との事です。」
成田配下の老将、本庄越前守(越後の人とは別人)、ニヤリと笑う。
「大規模な攻撃があるぞ。伏兵でも備えておくか。」
何故、寺が燃えたら攻撃があるのか。仏の守りが薄くなるから?
「阿呆。ワシらは火の手の方角だけでどこが燃えたか判る。

だが上方軍がどうやってそれを判ろうというのだ。

今頃敵陣では、城に火の手が上がったから攻め時だ、などと言っているに違いない。」

さすが爺さん。バッチリの読みです。
が、この事実に上方軍でも気付いた者がいた。
「……殿? 燃えてるのって、びっみょ~に城の方角とずれてません?」
三成の部下、川瀬左衛門であった。
実は上方軍、忍城の前には岩槻城や館林城を落としており、その降兵も参加していた。

忍城の情報は持っていたのである。
「ん? まぁ、そりゃ本丸にドンピシャってワケにゃ行かんだろ。

でも櫓の一つでも落ちてりゃ、それなりに慌ててるって。好機なり!」
聞く耳を持たない三成、全軍に攻撃命令を下した。
 

全軍の采配を振るう三成に代わって攻撃部隊を率いる川瀬、

ワザとゆっくり進み、城内の様子を探っていた。

上方軍でこの攻撃命令に慌てた人物がもう一人いた。
長束正家である。
長束隊の陣取った場所からは、ハッキリと見えたのだ。大筒の着弾点が。
燃えてるのは城じゃない。城外の寺だ。
大急ぎで三成の許へと伝令を走らせる。

しかしこの伝令、一歩遅かった。
本庄越前指揮する迎撃部隊によって上方軍は大損害を出して後退するハメになる。
無事だったのは長束隊を初めとする着弾点をハッキリ見ることの出来た部隊と、

川瀬の機転で攻撃を控えていた、石田隊のみであった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 大一大万大吉、石田三成

 

 

 

ごきげんよう!