信繁形見の馬☆ | げむおた街道をゆく

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大坂の陣において、真田信繁が、越前勢に討ち取られた後、
榊原康勝の臣・沼上八兵衛は、確認のために越前勢の陣へと向かっていた。

途中八兵衛は口取りがただ一人で葦毛の馬を引いていくのに行き会った。
見ると馬の鞍は六文銭の金具で摺った黒鞍である。
呼びかけて馬の主は誰か、どこへ行くのかと尋ねると、
口取りは、

「これは真田左衛門殿の馬であるが、ただ今討死なされた故、城中へ牽いて帰るのである。」

と答えた。

するとよい馬である、乗ってみようと八兵衛は馬を引き寄せ、
乗ってみてから、

「かんのよい乗り具合静かな大将馬である。」

と誉めた。
 

その後、口取りが、

「左衛門殿がこの馬はいかにしても信州へ形見として牽き行け、

と申し付けられたから返してくれ。」

と嘆願してきたので、八兵衛は馬から降りて返した。

が、それから一丁ほど行き過ぎた時、口取りを斬ってその首を取った者があった。
それは榊原家の士であった。

その者はその首で五十石の加増を得たということである。

信繁の形見の馬は信州へと届くことはなかったと思われる。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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