刀の目利きは☆ | げむおた街道をゆく

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真田は大坂に着き、その身のまま、大野修理(大野治長)殿のところに行く。
その頃は伝心月沢として薙髪であり、玄関で案内を乞うた。
奏者が出てきて、

「山伏はどこから来た?」

と尋ねてきたので、
真田はわざと、

「大峯辺の山伏であります。御祈祷の巻数を持参いたしましたので御目見を願います。」

と言った。
 

奏者は、

「殿は城におられるのでこちらに通るがいい。」

と番列の脇に呼び入れられた。
 

御目見を待つ若侍たちが十人ばかりいて、刀剣の目利きをしていた。
一人が真田に向かい、

「御僧の刀を見せてくれぬか?」

と言ったため、


真田は、

「ただの山伏の犬おどしの刀ですので、

なかなかお目にかける必要もありますまいが、お慰みになれば。」

と取り出した。
 

するりと抜いて柄を見れば、格好は申すにおよばず、刀の匂いも艶があった。
若侍たちは、

「さてもさても見事なり。」

と口々にほめ、

「中小身はどうだろう。」

と銘を見ると、「貞宗刀匠正宗」とあり、「中小身も見事だ。」と言いあった。
 

ここで皆々怪しみ、さては只者ではないだろう、

と思っているところに大野修理殿が城より帰った。
 

奏者が、

「玄関にて御目見なさってください。」

と待っていたものたちを引き出してきた。
 

大野は真田の前に手をついて、

「近日お越しになるとは伺っておりましたが、御足労くださったとは。
いそいで城に戻り秀頼公のお耳に入れましょう。どうぞ舎院にお入りください。」

と言って城に馳せ戻った。
 

さて秀頼公より、速見甲斐守(速水守久)が使いとして馳せ参じ、

黄金二百枚、銀三十貫目を下された。
 

これを見た玄関の若侍どもは、あきれかえった。
 

真田はおかしがったため、そののちその若侍たちに会っては、

「刀の目利きは当たっていたようだな。」

と言うと、皆赤面したという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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