「これは、おちおち死ねんわ。」
大坂夏の陣で、毛利勝永にフルボッコにされながらも生還した真田信吉・信政兄弟に、
小松の母さんの言うことには、
「あら、どっちか片方死んでも良かったのに。」
信之父さん、大ウケ。
信吉、歯ぎしり。
(何とか話題を変えなければ・・・あっ、)
「そ、そうだ!
今度の戦では、鎌倉伊右衛門が半死半生の手負いとなり、
配下の者も三人討ち死にするほど働きました!
かの者に加増してやって下さい!」
信之の笑いが、止まった。
「お前なぁ・・・そんなに目が利かんようでは、真田の家は継げぬぞ?
伊右衛門は、それほど立派な働きの出来る男ではないわ。
もし武勇を振るったとしても、今回は敵に突き崩され、
自分は切り倒され、配下は死なせておる。
それの何が立派で、どこが武功なのだ?
『負けても逃げぬ』程度は武士の習い、その程度の者に加増してやっていたら、
これから功名を挙げた者に何を褒美にやれば良い?
その都度に加増したら、上田・沼田を残らずくれてやっても足らんぞ。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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