一服の恩☆ | げむおた街道をゆく

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真田信之の家臣に、原郷左衛門という男がいた。

 

家老・矢沢頼綱の孫という名門の出であったが、
乱暴者として悪名高く、親類縁者からも嫌われ、

信之からもロクに声をかけられない有様だった。

大坂夏の陣で毛利勝永の猛攻を受けた真田家は、前線が崩れかけた。
 

若殿・信吉が郷左衛門に出撃を命じたその時、

小姓が持ったキセルが郷左衛門の目に止まった。

郷左衛門、「一服吸わせろ。」
 

小姓、「若殿様のタバコを渡せるわけないだろ! 何言ってんのコイツ!」
 

信吉、「かまわん、郷左衛門に一服吸わせてやれ。」

「うめぇ・・・。」

 

一服した郷左衛門、袖でキセルの吸い口をキレイにふき取り、信吉に返した。

 

信吉が郷左衛門を見ると、目には大粒の涙が光っていたという。
それもわずかの事、ヒラリと馬にまたがると、

郷左衛門は毛利隊に突進していった。

真田家は辛くも毛利隊をやり過ごし総崩れをまぬがれたが、多くの犠牲を出した。
犠牲者の中に原郷左衛門の名もあった。 

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 信濃の獅子・真田信之、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!