黒田如水は、元来、秀吉と無二の盟友であった上に、
互いに片方の身代が良くなっても、
片方を必ず見捨てないという起請を取り交わしていた。
ある時、秀吉が、
如水に所領として□石を遣わしたが、彼はこれを不足に思い、
諸事やる気の無い体であった。
竹中半兵衛は、如水と良き知音であった。
ある夜、彼は如水のところへ行き、よもやまの話をしていたが、
この時、如水が、かの起請の事を言い出した。
半兵衛が、
「それを一度見たい。」
と言ったため、取り出して一覧する体で眺めた。
この時、火に当たっていたのだが、
半兵衛はこの起請を引き裂き、火に入れて燃やした。
如水は驚いて、「これは何とするのか。」と申すと、
半兵衛は、
「この起請があるから、秀吉に対しても不足が出来、
諸事心に叶わぬことのみとなるのだ。
これがなければそのような事も無いだろう。」
と、申した。
その後、如水は仕合わせ良く、大名になったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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