大友宗麟が、ある時、病を患ったことがあったが、
この折、屋敷の天井に血のついた巨大な人の足跡が出現した。
しかし宗麟は、かねてからこのような事を気にしない人物であったので、
これが報告されても少しも臆する様子もなく、
「私の煩いも平癒した。やがて体力も回復するだろう。」
などと言って、驚くことすら無かった。
またある日、お座敷の塀から、小さな松の木が少し顔を出した、かと思うと、
にわかに大木と成って、枝を垂れ葉を繁らした。
これに当番の侍が慌てて駆けつけると、この松は次第に細くなり、
うつつのように消えてしまった。
人々はこれこそ稀代の珍事だと思ったが、
その後のある夜に、大友宗麟の座していた畳の間から、
六尺ほどの屏風が自ら出ていき消え失せた。
当時、これだけでなく様々な不思議なことがあった。
人々は、これはきっと不吉の前兆ではないかと、
なにか悪いことが起こるのを待ち受けるような心地をしたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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