織田信長の覇業を継ぎ、見事天下人へと駆け上った豊臣秀吉。
早喰いで濃い味付けを好んだ織田信長、
大名になっても麦飯を通し、
旬の魚や野菜以外に箸をつけなかった家康など、
食事の嗜好にも戦国武将達の逸話は多いが、
そんな彼らと並び賞賛される豊臣秀吉は、というと…。
黄金で茶室を作ったり、大坂城に三百人の妾を囲ったりと、
豪奢なイメージがある反面、食事については…割と庶民的な感覚だったそうである。
『異説まちまち』には、そんな豊臣秀吉の食に対する思いが書き留められている。
豊臣秀吉、曰く。
「いやぁ、余も偉くなって酒食も美味珍品思うままになったが、
やっぱり、何がこの世で一番旨いかといえば…アレじゃな。
『飢えそうなほど腹が減ってる時に喰うもん』に勝るものはないわ。
余が身分卑賤であったころ、よく叔母の家へおつかいに行ったんだが、
叔母が『お前が来ると思ってて用意してあったんだよォ』って、
大椀いっぱいに麦飯を盛って、棚においてくれてあったんだわ。
こっちも忙しいからゆっくり喰う暇も無い、その木椀の麦飯へ水を掛けて、
立ちながら喰って、急いで帰る。
これ、毎度毎度の事なんじゃが…ありゃあ本当に旨かった。
余も天下人になって色々飽食美食に明け暮れたが、
あんときの麦飯ほど旨いと思ったもんは一つも無い。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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