前田利家が、筑前守だったころの話。
ある日、利家の屋敷に、何某という老人の来客があった。
ところがこの何某、利家の部屋に入る折に袴の裾を踏み、
盛大に転んでしまったのである。
これを見た利家の近習が笑いまくった。
しかし利家は、これにブチ切れ。
「年とりゃ誰にでも起こりうることなのに笑うとは何事か。
よっしゃ今笑った奴はクジ引け。当たりが出たらそいつは死刑。」
と、いきなり死のクジ引きをおっぱじめるものだから、
焦ったのは何某老人である。
自分が転んだくらいで人が死んではたまらんと、
何とか利家をなだめすかし、近習たちは命拾いしたそうだ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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