諌言と一番槍☆ | げむおた街道をゆく

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「主人の悪いところを諫言することは、

戦場での一番槍の功名を立てるよりも立派な心掛けである。
 

なぜなら、敵と戦う場合には、命を惜しんではいけないのだが、
しかし勝負は時の運。

人を討つこともあれば、人に討たれることもある。
 

討ち死にしても、名誉は子孫に残り、

主人にも惜しまれることは、死んでも本望である。
 

もし幸いに敵を討ったときには、子孫までの繁栄の礎になる。
 

このようなことから戦場の働きは、

生きても死んでも損がないのである。
 

変わって、主人の悪いところを強く諫言することは、

十中八九危ないものであろう。
 

なぜなら、その主人が無分別で悪を好んでいたら、
金言耳に逆らうのたとえのとおり、

諫言する家臣を遠ざけ、そばに近づかないようにする。
 

そうしたときに、媚へつらう者が出て、主人の回りの愚か者と話し合い、

諫言した家臣を不当に扱い讒言をする。
 

それを聞いた主人は、讒言を信じてしまい、

諫言する家臣を遠ざけた上、会うことすらしなくなる。
 

その時は、諫言をする家臣も不満を抱き、主人を見限り意見を止めて、
病気と称して、隠居を願い出るのは、

十人いれば八、九人はそのようになるであろう。
 

しかし、主人の機嫌の悪いのも顧みず、

忠義の道を守り、主人の悪事を止めなければ、
責任は自分にかかわってくるものだと考え、

自らの保身を顧みず、何度も諫言する家臣は、
ついに手討ちにあうか、押し込められるかになり、

妻子までも迷惑させることは間違いないことである。
 

これを考えるなら、戦場の一番槍は、かえってやりやすいものである。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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ごきげんよう!