人の好み☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

関ヶ原の戦いののち、慶長六年十一月六日、

京都から米沢へ向かう前田慶次は、上野あたりで一人の女に会った。
「そなたは、どこから来たのだ?」

と尋ねると、女は都から誘拐されて関東まで来たのだという。

さらに涙を流し始め、

「人として、形よく生まれてくるほど悲しいことはない。」

とむせび泣いた。

女は化粧が崩れて、顔は横に三寸も長く、

おはぐろが所々とれて朽葉色の歯が見えている。

よく見ると、その歯には飯粒や菜っ葉がはさまり、

物を言うたびに萌黄色の息を吐く女であった。
 

慶次は、

「このような女を誘拐してくるとは、人の好みはさまざまなんだなぁ。」

ということをしっかり覚えておくために、この話を日記に書きつけた。 

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 花の慶次・前田利益、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!