前田慶次が上杉景勝のお供で江戸に行った際に、
同輩と銭湯に行くことになったが、
慶次は銭湯の風呂にふんどしに脇差を差したまま入った。
それを見た同輩は、
「あのかぶき者が脇差を差したまま風呂に入ったぞ!」
と言い、後から入った同輩も慶次の真似をして、
ふんどしに脇差という格好で銭湯に入った。
その慶次は風呂に入ったあと、板の間にでて、その脇差をスルリと抜いた。
なんと、脇差の中身は竹のへらで、それをもって、
足のうらの角質をこそげているではないか。
他の者の脇差はみな本物なので、
刃物・つか・下げ緒もびちょびちょになってしまった。
同輩は、
「また慶次にだまされた。」
と怒ったが、
慶次の真似をしたという後ろめたさもあり、
誰も慶次に文句は言えませんでしたとさ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!