慶次が昔、熊野の山中に2・3ヶ月いた時に、祈祷を生業とする巫女がいた。
人々から崇拝されていた巫女に一体どのような呪文を唱えているか聞くと、
「何て事ありません、王の袖は二尺五寸と一心不乱に繰り返し唱えます。
そうすれば、どんな憑き物もお祓いできます。」
と答えた。
慶次は笑って、
「王の袖は二尺五寸ではなくて、応無所在、而生其心であろう。」
と、その意味をも説いて聞かせた。
それから3・4年経て、再び熊野へ下った時に巫女のことを聞くと、
この年月祈祷が利かなくなって、それで他国へ移りました、とのことだった。
自分が余計な事を言ったが為に、巫女は祈祷が出来なくなり、
後悔した慶次は、その後は祈祷師や胡散臭い僧侶の言う事にも、
耳を傾けるフリをしていたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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