立花宗茂が、幼少の頃の話。
宗茂が城下町を歩いていると、突然騒ぎが起きた。
若い武士二人が口論となり、ついに真剣を抜いて決闘となった。
周りの町人たちはあわてて逃げ出した。
だがその様子を見ていた宗茂は、
その場に立って笑顔で見守っていた。
宗茂の近習は驚いて駆け寄った。
「若!そばにいては危のうございます。早く逃げてくだされ!」
だが幼い宗茂は笑って答えた。
「あの二人は父の家来だ。皆が逃げ回れば大騒ぎになり、
二人は処罰されるだろう。
父の息子の私がここで笑って見守っていれば、
ただの喧嘩として大事にはならないであろう。
あの二人は父の大事な家来であるから、私はここで見守っているよ。」
と二人を見守り続けた。
宗茂の言葉を聞いた二人は、すぐに刀を鞘に納め、和解した。
周囲の者は宗茂を、
「さすがは鎮種(高橋紹運)の子、大将の器である。」
と賞賛を惜しまなかった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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