島左近は、筒井家を出て牢人となったが、収入がないので生活が苦しくなった。
左近には、吉野に住んでいる金持ちの親戚がいて、
この者に借金を申し込んだが、
この親戚は欲深のドケチで、冷たく断られた。
そこでいろいろ思案した左近は、
口のうまい人を探し出し次のような口上を述べさせることにした。
「この前に借金を申し込んだけど、
貸したくないなら貸してくれなくても結構だ。
しかし、オレが借金を申し込んだのは、
あなたが大切な親戚だからなのだ。
そもそも、金銀財宝を人に施すものは、
子孫が永久に繁栄し家がますます栄えるものだ。
逆に、施しをしないものは、災害をかならずこうむるというジンクスがある。
その話を聞いたゆえに、あなたに災害が被らないように借金を申し込んだのだ。」
それを聞いた親戚は欲深の性格だったので、
使者の口上にコロリと参って左近に、
十分過ぎるほどの金を貸したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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