黒田官兵衛は、謀反を起こした荒木村重を説得するべく、
秀吉に命じられて村重の有岡城へと赴いた。
しかし官兵衛は、有無言わさずに、村重に牢屋に閉じ込められてしまう。
有岡城へ説得しにいった官兵衛が、行ったきり帰ってこない。
このことを知った信長は、官兵衛が村重に寝返ったと勘違いし、
人質にとっている官兵衛の息子・松寿丸(のちの長政)処刑するように秀吉に命じた。
秀吉は迷った挙句、信長の命令なので従おうとしたが、
竹中半兵衛が独断で信長には松寿丸を処刑したと報告し、
密かに匿って、石田正継(三成の父)の元へ隠しておいた。
やがて有岡城が織田の軍勢によって落城し、
中からやせ細った衰弱した男が出てきた。
足に障害を持っており、知っているものが彼が官兵衛であることに気づいた。
秀吉は官兵衛が生きていたと知って喜んだが、
官兵衛の息子を殺してしまったことに罪悪感を覚えて、
素直に喜ぶことができなかった。
するとそこに、半兵衛が密かに松寿丸を匿っていたという報せが届いた。
これに秀吉は自分の面目が立って喜び、
官兵衛の方も息子の命を助けてくれた半兵衛に、
感謝しても感謝しきれぬ思いを抱いた。
しかし、その時既にことの功労者である半兵衛は世の人ではなく、
中国攻めの陣中で没していた。
官兵衛は息子の恩人である半兵衛に、
感謝の言葉を直接言えなかったことを深く悲しんだと言う。
一方、信長は生前の半兵衛が自分に内緒で松寿丸を匿っていたと知ると、
呵呵大笑した。
「さては半兵衛め、またしてもやられたわ。」
と呟いたという 。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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