出羽国上山(かみのやま)には、昔、蔵王の山が噴火した際の火山岩が点在している。
昔々のある日のこと、最上義光が鷹狩に上山の金瓶にやって来たことがあった。
その金瓶の丘陵に義光は東西12m、南北7m、高さ3.3mもの巨岩を見つけた。
最上義光、
「なんと素晴らしい大岩なのだろう!
是非に山形のお城の庭に置く石に欲しいものだ。」
義光が家来に岩を見に行かせると、岩の下に洞(ほら)があり、
洞の中には子狼がおり、不穏な唸り声に岩の上を見ると、
岩の上には親の狼がおり、義光の家来たちを睨み付けておりました。
家来が義光に、「岩は狼の巣でした。」と報告すると、
義光は、
「岩が狼の家なら奪うことは可哀想だし、今回はしょうがないな。
素晴らしい岩だけど庭石にするのは諦めよう。」
と言いました。
当時、狼は人が飼っているニワトリやヤギなどの家畜を襲い、
その狂暴さからも人に恐れられていましたが、
しかし、この狼石に棲んでいた狼の親子だけはとても人懐こく、
金瓶の人たちは狼に子が産まれると、
巣穴にお祝いのご馳走を持ち寄るなど可愛がっていました。
金瓶では狼と住民との良好な関係が後世まで続いたそうな。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!