有る年(寛永11年(1634))の、徳川家光の上洛の時、
それに付き従った伊達政宗は、
前関白の近衛信尋、八条の宮様(智忠親王)から、
共に能を楽しみたいとの誘いがあった。
しかし装束のことなどもあったので、最初は辞退をしたのだが、
どうしてもと言う事で断りきれず、誘いを受けることとなった。
そこでは終日能を興行していて、京童たちが貴賎かまわず群衆をなし、
御庭前に畏まっていた。
ところが、政宗は次第に酒が回ってくると、
自分の座を立ち近衛公の隣に座り込み、
なんと近衛公の烏帽子を掴むと、
「公家ほどぬるきものはない!」
と言いながらあちらこちらと烏帽子をねじ回した。
完全な、からみ酒である。
この様子は庭前にいた群衆たちも目撃して肝をつぶし、
「ありえないことだ。」と思ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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