秋田実季が、秋田から宍戸へ移る際、
多くの家臣を残していかざるをえなくなった。
その一人に、湊典膳重季という老臣がいた。
一門で重臣だった典膳だが、
八十四という老齢からリストラ候補とされてしまったのだ。
長年忠勤したジイヤを置き去りにするのは、
実季も辛かった。
「何かこれからの生活の足しになるものでも…そうだ!」
思いついた実季、秘蔵していた医書二冊をせっせと書き写し、贈った。
「小児五疳治法」という、小児科虎の巻っぽいものだったらしい。
こうして、典膳家は町医者として身を立てることができた。
子孫は、佐竹当主の子の治療に功あり、
藩医として取り立てられたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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