大浦為信公が養子入りしてから間もない夜、為信公はすやすやと眠っていた。
すると突然、荘厳な容姿をした二人の人が現れた。
為信公は、
「夢の中に現れるとは、汝らはいかなる者か。」
と尋ねた。
するとその二人は、
「我等は往古より岩木山に住み、
専ら勧善懲悪を宗として民を教戒することをもって心とす。
公(為信)、年頃、心意に秘すところの望み、時すでに至れり。
そうそう思い至るべし、我等はまた、公の旗を守護す。」
と答え、立ち去ろうとした。
その時、為信公が、
「御身の姓名は何という。」
と尋ねたところ、
「萬字」「錫杖」と二人は答えて西を目指して飛んでいくのを、
為信公が見ると、その夢は醒めた。
為信公は、
「古今稀なる霊験である。」
と喜び、岩木山を三度も拝んだ。
そして、夢に出てきた二人の名から、旗の紋に卍を、馬印には錫杖を用いた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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