「…オレはありがたい事に、名君・義久公の実弟として生まれ、
ガキの頃に自分から進んで戦場に身を置いた。
わが島津家が、始めは周囲の国を懐柔してきたが、後に関係が危うくなり、
他家と対峙せざるを得なかったからだ。
主命を奉じてからは、幾度も危険な山野を駆け抜け、
数十年の間、まともな屋根のある家で休む事は少なかった。
おかげで東に戦い、西を討ち、日本国中を甲冑を着て巡り、
ついには数年間、朝鮮にまで足を運んだ。
しかし、そうしてオレが敵を斬り、功を立てた事により、
今の世に及び天下泰平、国家安寧の時を迎えたのは、
オレにとって実に生前の本懐、死後の名誉ではある。」
島津惟新入道義弘、「鬼石曼子」と呼ばれた猛将晩年の、自信に満ちた独白である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!