名を残すのが薩摩武士☆ | げむおた街道をゆく

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敵中突破を果たした後の島津義弘一行は、伊勢から近江へと向かっていた。
但し、街道を堂々と行くわけではない。

山中に潜みながら慎重に進んでいたのだが、
運悪く途中で僧体風の男とばったり出くわしてしまった。

これはいかん、正体を偽るべきか、あやしげな素振りを見せれば口を封じるか、
物騒な雰囲気の中、一行の中から後醍院喜兵衛宗重が進み出て大声で告げた。

「あいや御坊、これより東軍へ行って告げられよ。
 こちらにおわすは島津兵庫頭、戦いに利あらずして本国へ引き上げるものである。
 されど決して遁走するのではないぞと申してくれよ。」

馬鹿正直に正体を明かしたばかりかそのまま通してしまったのである。
これに周りの面々は大激怒。

「いま殿が難儀にあって潜行しようというのにわざわざ正体を明かすとは、
 なんと馬鹿なことを!」

これに宗重答えて曰く
「卑怯なことを申されるな、わが殿は必死を帰して生存の御志はないのだ。
 この上は草葉の蔭まで名を残すのが薩摩武士というものぞ。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 鬼石曼子・島津義弘、目次

 

 

 

 

 

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