加藤清正死去の報が薩摩に伝わると、島津義弘の御家老衆は御居間に伺候して、
目出度いことであると祝辞を申し述べた。
すると義弘公は以ての外の御不興にて、突と奥に入られた。
皆々その御心底を解しかねて当惑していた所、公は奥より御書付を持って出てこられ、
それを近臣一同へ下し置かれた。
列座の諸士が恐る恐る拝見すると、そこには一枚の奉書に、
「老鼠死而猫憂」
との六文字が認めてあった。
これは清正存生の間は、この方にも備えが有ったが、
彼が死んでしまえば、そういった心がけも薄くなってしまう事を、
深く憂慮するとの御意を顕されたものであった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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