ある時、堀家では論争が起きた。
それは、
「荷駄を運ぶ際、荷駄の数を決める勘定役と、荷駄を運ぶ担ぎ役とではどちらが偉いか?」
と言うものであった。
現代風に言えば経理担当と現場担当どちらが大変か?と言う感じである。
これを聞いた秀政は勘定役、担ぎ役の双方を集めこう言った。
「わしはかつて、蔵入り奉行(経理担当)をしていたので、勘定役の苦労はわかる。
だが担ぎ役はしたことが無いゆえ、今からやってみる。
荷駄を用意してくれ。」
と言って荷駄を用意させ、自ら荷駄を担いで小高い山を乗り越えた。
そこで一緒に着いてきた勘定役と担ぎ役の双方に言った。
「わしも戦で鍛えたゆえ、荷駄ごときと思っていたが、間違いだった。
ここに運ぶまでにヘトヘトになってしまった。
担ぎ役達には、いつもこの様な苦労をさせていたのだな。
本当にありがたい。
これで勘定役も荷駄を運ぶ苦労がわかったであろう。
お互いが苦労をいたわれば良いのではないか。」
勘定役、担ぎ役の双方は秀政の体を張った説得に感動し、和解した。
以後論争は無くなり、家中の団結は一層強くなったのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!