武田信玄が34~35歳のころ、彼は酒色にふけり、
歯も合わせられぬほど、泥酔した。
近習の春日源助がこれを憂い、みずから医薬の法を学び、
薬を調合して信玄に勧めたところ、ようやく回復した。
数日後、やっと政務の場に姿を見せた信玄に、源助は詩の書かれた紙を見せて言った。
「それがし、近ごろ漢詩を習っておりますが無学にて、この詩が読めませぬ。
申し訳ございませぬが、この詩の意味をお教え下さいませぬか?」
狂楽不佳味 (酒狂いの頭で美食の味など分かりましょうか?(無駄なことです))
嬌容是禍殃 (その上、美女を抱えるなど、災いどころか滅びの元では?)
達人知有節 (名人・達人は節度を持つことを知っているがゆえに
頻無中厥傷 (みだりに傷つき病むことが無いと言います。(どうかお考え下さい))
群臣の前で主君に言い立てることを避け、詩に託して諫言する・・・。
「うむ、なかなかできる事ではない。」
信玄は長光の刀を与えてこれを賞し、生活を改めた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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