佐竹家が秋田に転封となり、義重が六郷に隠居した後の話。
義重の館を守る当番で、小貫三之助という武士がいた。
いつからか、彼は仕事場に二、三歳の女の子を連れてくるようになった。
それをあやしたり、抱きかかえたりして当番をするのである。
さすがに、その姿は目立ち、義重にも報告が入った。
義重は、三之助を呼び出すと、なぜそんなことをしているのか尋ねた。
三之助は答えた。
「実は先ごろ、妻が病死してしまいました。
我が家には、子を見られるような者はおりません。
家に置いておいては、病になるかもしれず、
死んでしまうやもしれません。
そこで面倒を見ながら、御役を務めていたのです。」
「そうか…。」
義重は頷き、これを許した上、様々な品を与えたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!