島津義久は、自室の襖や屏風に、古今和漢の人物の肖像や逸話を書かせていた。
ただし、書かれた人物は普通の人々ではなかった。
前漢の王莽。唐の安禄山。蘇我入鹿。藤原信頼。
いずれも国を傾け、家を滅ぼした、大悪人ばかりだった。
義弘、
「普通は聖人の肖像等を飾るものでは?何故こんな恐ろしか者どもを飾るので?」
義久、
「善行などは、実は人のマネをすればすぐ出来る。
しかし、悪行は無意識に出来心でやってしまうものよ。
だからこうして、昔の大悪事を常に目に触れるようにして、
逆にこのようにせぬよう心がけておれば、
自然と善行を積める人間になるのでは。 …と思ってな。」
家臣皆、感心せざるは無かったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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