伊予曾根歯長城は長宗我部元親の攻撃を受けていたが、
堅固に守られた城は攻めるに難く、
長宗我部勢は結局撤退した。
さて、それから間もなくの夜、
城の近郊にある曾根天満宮が騒がしく、
何事かと調べた所、
町人たちが戦勝の祝いに、盆踊りに興じているという。
お祭りごとが好きだったこの城主は、
早速踊りを見物しに向かった。
無論、罠である。
踊っていたのは町人に扮した長宗我部の兵たちであった。
見物に現れた城主にたちまち切りかかり、
彼は鼻を削がれて討ち取られた。
これ以降、この地方では盆踊りの事を「鼻取り踊り」、
転じて「花取り踊り」と呼ぶようになったという。
元親はこの謀略がよほどお気に入りだったらしく、
野根城主惟宗国長にも、天正三年七月、
手の者に派手に盆踊りをさせ、その見物に国長出た隙に、
長宗我部勢が城を攻め立て、落城させている。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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