お雛様の話です第3回 | 創作人形 吉貞

創作人形 吉貞

雛人形の話、趣味の話をお伝えします。

佐野の雛人形工房 吉貞店長の吉田です。

今朝は、晴れですが?温かくなればいいですね。

お雛様の話をします。

五人ばやしの意味パート2


対雛と五人囃子

 江戸時代の半ばを過ぎると、雛飾りに対雛と五人囃子、そして雛道具は飾り方の組み合わせとして絶対的という観念が強く流れるようになった。時を経て昨今、雛段飾りの簡略化された形は、対雛に三人官女を加えて五人飾り、さらに随身を飾って七人飾りといった風だが、明らかに女児の無事成長を祝う呪術としての意味合いは薄れてしまっているといえる。

 宝暦九年に江戸では京雛の移入が禁止されるが、幕府の為政の故もあって宝暦以降は江戸文化の権立期とされる。その頃が現今の座雛の完成期ということができる。 古今雛こきんびなの創作者といわれる舟月や五人囃子の作者として名匠といわれた玉山の出現がある。

 雛づくりの仕事上では特に五人囃子に想いをひかれる。そこには座雛の雛飾りの構成の本来があるからだ。宇宙を構成する五大五行(五気)のもとで五季の気候は春、夏、秋、冬、土用であり、目で見る五色は青、赤、白、黒、黄であり、天地間の生類は霊長たる人間、獣、禽、虫、魚を指す。人間には五体(頭、両手、両足)、五臓(漢方でいう肝、心、脾、肺、腎)、五指、五感(視、聴、味、嗅、触覚)、五欲(財、色、食、名誉、睡眠)があり、口で知る五味(甘、酸、辛、苦、塩辛い)、耳で聞く五音(あいうえお)もまた″五″に関わる。人間の踏む道にも仁、義、礼、智、信の五常の道があるといった往時の観念が込められて、五人囃子は必ず対雛と共に飾られた。

 五という極致は天地が創造し自然のものすべて五つで大極そのものの現れだと考えられた。関東風の雛で五人囃子の立袴(小鼓、羯鼓(かっこ))には踏み出し、踏み込みの伝統がある。十五人揃の中では歌舞伎の様式である六方を踏む態(さま)を入れて、唯一カの入った動態で運気の消長を示したといえるだろう。
                                   吉田吉貞識

五人囃子は、お子様の成長を願って飾るようになった大事なお人形です。


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