隠れた名盤を探る!#1

On Earth as It Is in Heaven
(舞踏への誘い)
ANGEL


エンジェルは、カサブランカレーベルからキッスの弟分として75年にデビューしました。キッスの悪魔的なイメージに対をなした天使の白いヒラヒラなイメージ戦略などレーベルの思惑は、キッスがイースト・コーストに拠点を置いて活動していたのに対し、エンジェルの活動拠点ををウエスト・コーストに置き、ライバル的なバンドのポジションへ押し上げようと画策したのでした。


デビュー時、日本の音楽雑誌ではクイーン、キッス、エアロスミスと並べられ、四大バンド扱いされていました。特に、日本の女性ファンの後押しは凄まじさがあったようです。


初期2枚のアルバムでのサウンドは、キーボードをフィーチャーした実力派ハードロックを聴かせながらもプログレ的な難解さもあり、日本での人気とは裏腹に、本国アメリカでは鳴かず飛ばずの状態で苦戦を強いられていました。


77年、3枚目のアルバム「On Earth as It Is in Heaven(舞踏への誘い)」では、プロデューサーにレッドツェッペリンやキッスを手がけたエディ・クレイマーを迎えることで、サウンドスタイルもシンプルでコンパクトなものに変わり、アメリカン・ハードロック的な音が強調されたのです。このサード・アルバムを発表することで、アメリカでのセールスを上向かせることとなったのです。


楽曲もバラエティーに富んでおり、メロディーの良さも前ニ作と比べ際立っており、その後の作品と比べても彼らの最高傑作と思えるほどの出来映えだと思います。キーボードソロとギターソロの掛け合いの見せ場があるのも好きなところです。



しかし日本では、天使のヒラヒラなイメージ戦略やメンバーのルックスが仇となり、アイドルグループ視された状態から抜け出せないことから、ロックファンからの指示を受けられず正当な評価は得られませんでした。さらに来日公演のトラブルなども重なり、次第に人気は下降していき、いつしか音楽雑誌の紙面から消え、日本の音楽市場から存在感は消えていきました。


一方、アメリカでは音楽性がポップでキャッチーに変わっていくことで、「Sinful/蘇った天使たち」など後作からスマッシュヒットも出ました。しかし、それ以上の大きな成功を収めることなく、81年に解散してしまいました。



なお、フランクザッパのライブアルバムに収録されている「Punky's Whip」という曲では、ギターのパンキー・メドウズのルックスを揶揄し、「輝くさらさらヘヤーに熱い唇〜」といった歌詞で、完全にゲイ扱いしておちょくられております。本国アメリカでも白いヒラヒライメージやルックスが災いし、ロックバンドとしての正当な評価は得られなかったようです。



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