日本での飼育放棄のない社会作りは、いったいどうすれば良いのでしょうか?
欧米と日本の犬事情を比べれば、おのずと日本での飼育放棄のない社会作りが見えてくるのでは?
犬を飼いたいと思ったら
欧米では自分のライフスタイルに合った犬種を決め、ブリーダーを探すか犬の保護施設に出向いて探すのが一般的です。飼い始めるまでに時間をかけます。
日本では見た目の好みに合った犬種を決め、ペットショップかブリーダーで探すのが一般的です。飼い始めるまでにそう時間はかかりません。
人気の犬種は
アメリカではラブラドール、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバーが不動のベスト3、欧米では概ね小型犬より大型犬に人気があります。
日本では住宅事情もあり小型犬が好まれ、15位のゴールデンレトリバー以外の人気犬種は20位まで全て小型犬です。(4位の柴犬も年々小型化されています)又、流行に左右されやすく特定の犬種ブームが起こります。(今で言えばMIX犬や柴犬、昔で言えばラフコリーやハスキーなどなど、ブームの後はその犬種の大量飼育放棄が起こります)
犬を飼い始めたら
欧米では迷わず、犬と問題なく幸せに暮らすためのしつけ・トレーニングが最優先になります。
日本ではワクチン接種が終わるまで室内から出さず、しつけ・トレーニングは問題行動が発生してから行います。
ちなみに、日本を訪れた外国人が日本の犬事情を見て驚くことは
室内に犬用トイレがある 海外では犬の排泄は屋外が常識。日本では室内トイレを教えることから始めます。
散歩から帰ると足を拭く 靴を脱いで上がる畳文化。飼い主によっては水で洗ったり、体を拭いたりで家に上げるのに10分以上かける場合もあります。
小型犬をカートに乗せて散歩をしている 言わずと知れた日本の犬文化。
犬が可愛い服を着ている これも日本の犬文化。
トリミングサロンがやたら多い 正直海外では犬を日本ほど身綺麗にしません。動物病院にトリミングサロンが併設されているのも驚かれます。
犬の糞を家に持ち帰る ゴミ箱の少ない日本の習慣。海外では糞専用ゴミ箱やマナー袋を設置しているところもあります。
ペット可の住居なのに共有部分は抱っこ 共有部分は汚れたら掃除すればいいのに、何をもってペット共生住宅というのかわからない。
吠える犬がやたら多い。特に小型犬はよく吠えている 欧米では仔犬の頃から無駄吠えしないようにしつけられている。
こうして考えてみると、欧米の犬事情と日本の犬事情が大分違うことが判ります。
そして日本の犬が欧米の犬に比べ、大変な思いをしながら生活をしていることにも気がつきます。
尚更、日本の犬文化・犬事情に合わせた早めのしつけ・トレーニングが必要になります。
日本は欧米に比べると家庭犬の歴史は短く、犬は家族といわれるようになってきたのもごく最近です。
古くから犬と共に生活をしている欧米では、犬を飼っていない人でも、犬がそれほど好きでない人でも、犬のことを知っています。だから犬を飼い始めたらトレーニングするのが当たり前なのです。
日本では犬を飼っていても、犬のことをよく知らない飼い主さんが多くいます。なのに日本では犬を飼いたいと思えば、すぐに飼うことができてしまいます。自分のライフスタイルや犬種特性を考えてから、犬を迎える飼い主さんがどれだけいるでしょうか?MIX犬でもそのルーツとなる犬種があるのです。
この仕事をしていると飼育放棄までとはいかなくても、楽しいはずの犬との生活の中で、悩み苦しみ困っている飼い主さんが沢山いることに気づかされます。
日本では犬が簡単に手に入ります。流行りだからと安易に飼い始めないでください。
自分のライフスタイルを考え、その命が尽きるまで責任を持って飼い続ける覚悟が出来るまで、犬を迎えないでください。
犬を迎えたら、すぐに犬と楽しく一緒に暮らすための、しつけ・トレーニングを始めてください。
しつけ・トレーニングは問題行動が出てからするものではなく、計画を立てて犬を迎えてからすぐに始めるものです。
そしてトレーナーを探すのでしたら、科学的な理論に基づいた方法を用いる家庭犬のトレーナーに教わってください。
間違っても飴と鞭を使い分けているようなトレーナーに引っかからないよう、自身も勉強することをお勧めします。
これは大型犬を飼っている飼い主さんが、犬を【家庭犬訓練所】に預けた後、『犬が逆らったら、これで叩いてください』と渡された仕置き棒です。どんな訓練を訓練所でされていたかが判ります。このような罰を使うトレーナーは家庭犬のトレーナーではありません。勿論、犬との信頼関係が育つことはありません。
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