再就職後夏の話が続きます。

 

 7月の真夏最盛期にこの会社ではできるだけ経費を節減するためエアコンはつけずに乗り切る方針だった。お客さんが来る予定があることが分かっているときには社長や専務から事前に応接室を冷やしておいて欲しいと連絡が入ることになっていた。この徹底したケチ、もとい節約ぶりが堅実な経営につながったことも否定はできない。

 

 20日は支払日なので集金にやってくる取引先も多いが、事務所のエアコンを最低限しかつけないという婆須の方針は変わらないので仕方がない。私は灼熱の西日を浴びて汗だくになりながら仕事をしていた。

 

 取引先も集金などで外を走り回ってくるので汗だくである。建物の中に入ると涼しいことを期待している。この事務所に来たらその期待は見事に裏切られる。確かガソリンスタンドの人だったと思うが、事務所に集金に来て婆須から小切手を受け取りながら、

 

「いやあ、ここ暑いですね。これは省エネですか?」

 

と聞いていた。婆須は涼しげな表情でうなずくだけなので私たちも何も言うことはない。この人は集金が終わるとそそくさと帰っていった。

 

 この頃には専務が退院していて、システムの変更の準備も含めてこの年から3ヶ月に1回会社の全体会議を開くことになったことは以前少し書いた。会議の会場は既に婆須が確保していたので、私はその後に開かれる懇親会の会場の設定を担当することに決まった。

 

 会議場から近い場所でどこかいい食事場所を探すと言う役割だった。それも1人5000円が上限と言われていたので私はインターネットで探していた。幸いいい場所が見つかったのでメールで専務に確認したらいいと言うことなので出席を確認して会場を予約した。人数は20人前後で確定したら前日までに連絡することに決まった。全職員にメールで会議案内書類を作成する。

 

 この会議では第1四半期の3ヶ月での営業の成績を発表して達成しているグループにはインセンティブ(報奨金)を出すことになっていた。その資料の入力・作成も担当することになった。7月の20日締切の数字が確定したら3ヶ月分のデータを作れるように準備しなければいけない。私は仕入の業務を浜中と分けるが少しずつ私の担当比率を上げていたのでかなり慌しくなっていた。

 

 この頃は猛暑で私は家に帰っても休む暇はない。ひたすら連絡メールを送ったり、商品の梱包発送手続きまで全てやらなければいけない。郵便の時間外窓口は24時間開いているので夜中に自転車で荷物を出しに行くことも多くあった。この月は売上が月間40万円以上上がり、過去最高益更新になった。郵便料金の支払も月額6万円に達していた。それを差し引いても手許利益は8万円以上残っていた。この月間最高益の記録は現在も塗り替えられていない。昨年夏も猛暑だったがこれには及ばなかった。

 

 ここから少し話は変わるが、この頃にブログ(ここでは元祖ブログ)経由で、パワハラに関する相談メールが来たことがある。この方の話によると、上司と2人の密室でかなりひどいやり方で嫌がらせをされていたという。毎日説教が2時間は当たり前らしい。この上司が原因で過去に3人ほど退職しているようだ。どうやら私が前事務所で個別労働紛争のあっせんに関することも書いていたのでそれを見たらしくどうしたらいいか相談したいようだった。

 

 私は忙しい中でも対応策は現行法律では3通りあることを書いて(詳しくはこちら )、それぞれのメリットとデメリットを書いてメールを送信した。相談窓口は国がやっている「総合労働相談コーナー」に行って事業主名と受けている嫌がらせの内容について相談するよう書いた。

 

 この相談者は嫌がらせをした本人を何とかしたいと言うが、それは基本的に事業主の環境配慮義務に基づく使用者責任(民法715条)を問うことになることを話した。もちろん不法行為責任(民法709条)も問うことは可能である。どうしても本人をやり込めるなら民事で訴訟を起こすか刑事告訴することはできなくはないが現実的ではない。私のときもこの2つの条文に基づいて事業主の責任を追及している。

 

 この方はすぐに労働局に相談に行くと闘い方については私の説明どおりだと言う。再就職が既に決まっているとのことなので、事業主の動きを見てあっせんをするなら早くやろうと考えているらしい。私はこれに対してあっせんを実際にやっているのでそれに約1ヶ月はかかること、あっせんをすることで再就職に影響しないよう慎重にやってくださいねと書いて返送した。

 

 そうするとあっせんの手前で会社と話がついて本来はもらえない退職金を少し出すと言う形で決着したと言うお礼のメールが来ていた。私は苦しい思いをして闘った過去は間違っていなかったことを改めて実感した。

 

 当ブログでも似たような相談が来るようになり出したので、労働問題で相談することもできずに困っている人が多くおられることが分かります。個々の事例に応じて対応が異なりますので国が運営している

 

 

「総合労働相談コーナー(無料)」

 

 

に事実の経過をまとめた上で相談されることをおすすめします。上記リンクで全国の窓口が調べられます。

 

 

 話はまだまだ続きます。