前回の続きです。先週休載にして申し訳ありません。
私と同じ時期に通所を開始した人に奥村さんという女性がいた。この人は看護師の資格を持っていて、社会人の経験があることも私と同じだった。精神障害で入院したことがあることも同じだった。
この奥村さんは既婚でご主人に送り迎えしてもらう日もあった。私のように難しいタイプではなく、人当たりの良い人で特に女性利用者からも慕われていた。
ただ、当初から体調があまり優れなかったらしく、通所してすぐにあまり来所しなくなった。
奥村さんによると、将来は看護師の資格を生かして仕事をしたいらしい。以前から高齢者のデイサービスの仕事をしていたらしく、今後もデイサービスで仕事をしたいと言っていた。極端な話になるが、デイサービス以外では働きたくないとも本人の話では感じ取れた。
私は通院の時を除き毎日通所していたがあまり奥村さんを見かけなくなったのでどうしたのだろうとは思っていたが年が明けても奥村さんが来ないのでもう通所しないのかなと考えることもあった。
利用者が通所しなくなってそのまま退所するパターンにはいくつかある。1つは体調が悪化して時間通りの通所が難しくなるケースでそのままズルズルと通所できなくなって退所というケースである。あとは自分に合わないと利用者が判断して通所しなくなり退所するというパターンである。
あとは歴史の新しいこの事業所ではまだなかったが利用期間の2年が経過して就職できない場合やそれまでに就職が決まった場合も退所となる。
この事業所を運営する特定非営利活動(NPO)法人は高齢者向けデイサービスの事業も展開しており、看護師の資格を持つ奥村さんも登用しようと考えていた。私の雇用に私がなかなか首を縦に振らない中ではあったが奥村さんもまだ安定的に通所するようになって短いのでいきなり雇用して体調が悪化しては元も子もないので慎重に判断したい様子だった。
年が明けたころに奥村さんは安定して通所するようになり、女性利用者だけではなく男性利用者にも慕われていた。
この頃にこの事業所を運営する法人が新たに隣町で別の就労継続支援B型の事業所を開設することになったとなぜか私に告げられた。当然のことながら人員が必要となることは分かったが、これほどまでになぜ私に守秘義務にきわどいことを話してまで私の雇用を急ぐのかは分からなかった。どうやら奥村さんにもこのことは声がかかったとみられている。
活用しているか否かはともかくとして国家資格は持っているだけでも力があるのだなあという幻想を私は抱いていた。京都では1000人以上いる精神保健福祉士は今や過剰であると言われている。それが南大阪地域に来たらこんなに騒がれるとは思わなかった。
一方看護師も引く手あまたの資格である。この奥村さんはご主人も看護師とのことでできるだけ日勤で働きたい様子だった。あとで知ったがこの就労移行支援や新しいB型事業所での雇用も望んでいるとのことだった。
話は次回に続きます。
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