それでは中学生時代のお話に入りたいと思います。


鮮明度:A


 私の通う学校は電車で1駅乗ってなおかつ駅から歩いて約15分と言う遠い場所にあった。新興住宅街だったのでまだそんなに学校が整備されていなかったのである。従ってかなり前もって準備して出かけなければいけなかった。事前に定期券を買うなどの準備も必要になる。


 神戸市の北区では電車は神戸電鉄という阪急電鉄(現阪急阪神HD)系のローカル線しか走っていない。この路線は昔から運賃が高いことで知られていて1ヶ月通学定期でも1駅で4000円/月くらいはかかっていた。この電車、運賃が高いくせにこの時も冷房は完備されていなかったことを記憶している。


 そして入学式の日は間もなくやってきた。


 入学式ではみんな男子は綺麗に頭を丸めて出席していた。真新しい制服に身を包んで校長先生の話を聞いた。学生は1学年で約300人前後だったと思う。


 「学校のルールは必ず守ること」


 が繰り返し強調されていた。これは後で聞いた話だが、私が行っていた学校は神戸市でも有数のガラが悪いことで評判の学校だったのだ。そのため先生たちも学校の統制を守るために校則の厳守を徹底して呼びかけていた。


 その後クラス分けが発表されて生徒たちはそれぞれ自分のクラスの教室に向かっていく。この時は1年生が本館の4階、2年生は別館、3年生が本館の3階だった。


 クラスは1クラスで約45人。最初は出席番号順に席に付く。


 1年生の担任の先生は女性で若い辻元先生という産休の先生の代替要員だった。まずは入学後の注意事項などについて説明が行われる。授業時間は50分に変わることや小学校とは異なり教科毎に担当の先生が変わることなどが説明された。その後に小学校ごとに異なるが春休みの提出物を出すように指示された。


 この学校では5つから6つの小学校から生徒たちが集まっていたことを記憶している。


 翌日になるとホームルームで自己紹介が行われることになった。自分の名前と出身小学校、特徴、趣味や特技まで話してくださいと辻元先生は言った。順番に男子から出席番号順に自己紹介していく。別に名前を言って簡単な特徴だけ言って「よろしくお願いします」とだけ言えばよかった。私の順番は10番目くらいに回ってくる。


 私は悩んだ。最初の方の人は趣味や特技についても話していた。私がいきなり趣味や特技をないとは言いにくい。趣味は切手収集や将棋などあったからいいが、特技がどうしても見当たらなかった。私が最初に特技はないとは言いにくい。とりあえず歌を歌うことにしておこうと軽い気持ちで決めていたら私の順番が回ってきた。


 「てつさんです。○○小学校出身です。趣味は切手収集と将棋です。特技は歌を歌うことです」


 と自己紹介した。そうすると男子生徒の1人が、


 「じゃあ何か歌ってよ!」


 とはやし立てた。私は


 「それは機会があればまた今度..」


 とかわそうとしたが教室全体が私を歌わせようと拍手が巻き起こった。私は軽い気持ちで特技を言ってしまったことを後悔したがもう既に遅かった。やけくそになった私は演歌ブームでもあったので、


 「浪速節だよ人生は(細川たかし風)」


 の1番だけみんなの前で披露することになってしまった。私の自己紹介だけとんでもなく目立つものになってしまった。後の人は別に特技はなしでも良くなってしまった。


 辻元先生も私のことを真っ先に覚えたそうだ。


 私は目立たずおとなしく中学時代を過ごそうと考えていたが最初から完全に目算が狂ってしまった。


 この自己紹介のせいで私は何か事あるごとに歌を披露させられる羽目になってしまいました。目立つことによりやんちゃな男子生徒たちの目に付くことになってしまったのも大きな誤算でした。



 話はまだまだ続きます。



「本日の豆知識」


 日本では女子の制服として定着しているセーラー服ですが、これは実は海軍の軍服です。

 セーラー(sailor)は日本語に訳すと「水兵」。実際にアメリカなどの海軍の軍人さんはセーラー服を着ています。下はもちろんズボンになりますけどね。

 男子の学ランもかつての軍服ですよ。

 それゆえ今は男女ともブレザーの方が多くなったように感じます。


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