前回、自閉症スペクトラムの特徴を大まかに分けて3つありますよというところで終わりました。

 これだけではなかなか具体的な特徴まで理解していただくことは難しいと思いますので、できるだけ箇条書きで具体例を挙げた症状をここでは取り上げたいと思います。

 まずは前回のおさらいですが、自閉症スペクトラムの患者は「社会性・コミュニケーション・想像力」がセットで欠如していますという話をしました。これがあることにより社会生活を行ううえでいろいろな問題が発生してしまうのです。それを以下にまとめてみました。あくまでもこれは傾向であり、症状には個人差があることをご理解下さい。


・人の言うことに耳を貸さない

 だから自己主張を曲げない頑固者と言われます。


・集団生活に馴染めない、馴染もうとしない

 集団の中にいても何か1人で違うことをしていたり考えたりしています。一見溶け込んでいるようにも見えたりしますが実際は溶け込んでいないケースが多いです。集団生活では孤立しやすくなります。


・本音をなかなか話さない

 本人がどう話したらいいのか分かっていないケースもしばしばあります。


・物事の一部に関心が集中しやすい

 こだわりが強いとも言います。特定の事柄に集中しすぎると周りで起こっている状況や全体像を把握することが困難になります。


・一度に複数のことを対応できない

 不器用だといわれればそれまでですが、電話を取って資料を見ながらメモを取るような同時進行型の作業は困難になりがちです。


・行動に一定のパターンがある

 既存のパターン通り行動することもあるし自分でパターンを決めて行動することもあります。後者の方が多いような気がします。


・反復継続的なことは得意

 自分が好きなことや自分のパターンに合った事柄であれば飽きることを知らないくらい反復継続できます。


・記憶力がいい

 時には何年も前のみんな覚えていないようなことを突然話し出すこともあります。時には「カメラアイ」と呼ばれるくらい細部にわたって記憶していることもあります。それが辛い過去の記憶であればそれが蘇りフラッシュバックが起こりやすくなります。


・両極端になりやすい

 得意な分野と苦手な分野がハッキリしているので得意な分野はどんどん伸びるし苦手な分野はますます苦手になるので能力に凸凹が生じやすくなります。定型発達の人から見たら「何でこんな簡単なことができないの?」ということがたくさんあります。その逆「何でこんな複雑なことができるの?」もあるということになります。


・一方的なコミュニケーション

 話をするときも聞く時も一方的なコミュニケーションしかできないことが多いので会話がかみ合わないことがしばしばあります。


・パニックになりやすい

 自分の予定通りにことが運ばなくなるとしばしばパニックに陥ります。そう予定通り物事が進むことはこの世の中ではありませんので当事者の頭は混乱状態になっていることが多いです。


・相手の表情から感情を読み取ることができない

 相手が怒っていてもそれを読み取ることができないのでさらに怒らせてしまうことがよくあります。


・その場に合った適切な表情ができない

 怒られているのに笑っていたり、とても辛い状況に置かれていても表情がいつもと何も変わらなかったりすることがあります。上記項目とも合わせて良好な人間関係が構築が困難になります。


・アイコンタクトができない

 相手の目を見て話さないことが結構あります。逆にそれを指摘されるとずっと凝視したりすることもあります。


・言葉を額面どおり解釈する傾向が強い

 うっかり冗談で言ったことを額面どおり受け止めてショックになったり本気で怒り出したりします。


・感情のコントロールが難しい

 自分の感情がコントロールすることが難しく、時に自分でも止められなくなるほど暴走してしまうこともあります。


・選択的注意ができない

 たくさんの情報から必要な情報だけ抜き取ることが難しいのでうるさい中での会話や仕事は苦痛になります。


・触覚が過敏

 上記の音もそうですが着替えや入浴など肌に触れるものがある作業を嫌がる傾向があります。


・時間の感覚がない

 始まりと終わりが分からないことがよくあります。


 これだけあってもまだ例示列挙です。実際には上記に書かれている症状が複合して現れるので特徴を理解しているサポーターが不可欠になります。誤解が生じた時には双方の当事者にどのような誤解が起きているのかを理解できるよう説明できる人がいれば誤解が更なる誤解へと進むことを抑えることはできると思います。

 私も含めた自閉症スペクトラムの患者は他人とのかかわり方が分からないために他人とかかわる時はいつも不安です。そのために継続的な支援が必要になることが多いですが現在のところまだその体制が整っているとは言い難いです。実際に私も病院で専門外来の診察を受けるのに2カ月かかりました。発達障害者支援法という法律ができて少しずつ認知されつつあるというのが正直の感想です。

 私もつい最近まで自分が自閉症スペクトラムに該当するとは思いもしませんでした。その特徴が書かれた本やホームページを見るたびにあまりにも自分の特徴と一致するのでこれは現実として受け入れて今後も生き難いですが生きるそれも楽しく生きるためにどうすればいいか、奮闘はこれからも続きます。

 最後にアスペルガー症候群に関する分かりやすいページがあるのでこれを紹介して今日の記事は一旦終わりにしたいと思います。

 アスペルガー症候群とその家族についてのFAQ

 http://www2u.biglobe.ne.jp/~pengin-c/ASfamily.htm