まずはアスペルガー症候群とはどんな病気なのかを知っていただかなければいけませんので、その説明から始めます。

 アスペルガー症候群の名前はオーストリアの医師ハンス・アスペルガーがこの病気の特徴を書いた論文から付けられた名前です。アスペルガー障害とも言いますが同じ意味です。

 ひと言で言えば、

 

 「知的障害・言語障害を伴わない自閉症近似の発達障害」


と言うことができます。自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群を合わせて「自閉症スペクトラム」とも言われています。一般的に自閉症は3才児の検診のときに分かるケースが多いそうです。なぜかというと言葉の発達が遅れるからです。それが理由になって自閉症の患者の約8割は知的障害を伴うことになります。これをカナー症候群とも言います。残りの約2割は知的障害を伴わないことになりますがこの基準はIQ(知能指数)70とされています。これが高機能自閉症です。中には定型発達者を上回る知能を持つ人もおられます。その中でも言語障害もない人たちのことを指してアスペルガー症候群と言われていますが、この3つの境界線は明確に線引きができるわけではなく虹のように構成されるのでこれらを総称して「自閉症スペクトラム(連続体)」と呼ばれています。これは脳の機能に偏りがある先天性の障害と言われています。

 じゃあこの自閉症スペクトラムにはどんな特徴があるのかと言うと、大まかに分けて3つあります。


①社会性の欠如

②コミュニケーションの障害

③想像力の欠如


こうやって簡単に書けば「それだけ?」と思われてしまうかも知れないのですが、これが三つ組の障害と言われて当事者を苦しめています。この3つは人間が社会生活を行うに当たり必要不可欠になるからです。

 「自閉症」「アスペルガー症候群」というとまだ偏見をもたれることもあるので「広汎性発達障害」と言われることもありますが、これはADHD(注意欠陥多動性障害)やLD(学習障害)なども含まれるのでさらに幅の広い概念になります。

 この三つ組の障害の具体的な特徴を書かないと全体像はつかめません。少し難しい話が続きそうですがこれは次回以降に回したいと思います。