午前3時15分頃、再び目を覚まし、そのまま起きてしまった。
ダンナもほぼ同時に起き、つれづれ話をしながら夜明けを待つ。

天気予報でもやってないかな、と、深夜のテレビにスイッチを。
暗闇の中、光る画面に目を凝らしているうちに、それらしきものがなんとなく流れてきた。
「晴れ時々曇り時々雷雨」いったいどういう天気なんだ!?

6時頃から窓の外が白み始めたけど、昨日とは全く違う空の色。どんよりした雲の天井。

朝食はコンチネンタルブレックファストで、パンとコーヒー。
丸い白パンと、やっぱり慣れない塩気のある黒パン。合わせて1個半を食べた。

いつ雨が落ちてきてもおかしくない天気の中を、バスは走る。
今日のスケジュールは、ドイツ観光のもう一つのお約束、ロマンチック街道を南下すること。

ものすごく離れたところを走るわけではないが、鉄道路線とはあまり関係ないところを通るので、私にとって、車窓の楽しみは半ば奪われたようなもの。
ハイデルベルクに停まっていた、赤い二階建て車両を名残惜しむように眺める。

バスはネッカー川沿いを行く。
この道は「古城街道」と呼ばれているそうだ。
確かにお城も多いが、温泉リゾートっぽい施設、原子力発電所、岩塩工場や車の工場、実にいろんなものが見える。

ハイデルベルクを出てから約1時間半後の9時30分頃、いきなりアウトバーンに入り、東へ進む。
途中のサービスエリアで休憩。
なぜか相方、ふだんはあまりお酒を飲まないのに、「ワインが飲みたくなった」と、突然言い出して。
でもここはサービスエリア、ご希望のものは、あいにく売っておりません。

曇り空に加え、むしろ長袖を着たいほどの肌寒さ。
麦畑や牧草地が広がる景色を過ぎ、やがて丘のふところに今日の最初の目的地、ローテンブルク。
フランクフルト・アム・マインのように、同名の町と区別するため、タウバー川沿いにあることから正式には「ローテンブルク・オプ・デァ・タウバー」(ローテンブルクo.d.T)と呼ばれているらしい。

典型的な城壁都市という感じで、確かにすごいんだけど、逆にすべて作り物っぽくも思えてくる。
城壁をはじめ、中世のままのものもいっぱい残ってるのに(なぜか原宿を思い出してしまった)。
でも、どの建物も、花できれいに飾られているのが印象的。

添乗員さんに一通り城壁の中を案内され、あとは昼食時間まで自由行動。
我々2人は教会を見たり、その後はひとりになって、仕掛け時計のあるマルクト広場に行ったり。
ここには、3リットルあまりのワインを飲み干して、町を敵方の攻撃から守った市長さんの伝説というのがあって、仕掛け時計からは、毎時ごとに、ワインを飲み干す市長さんの人形が出てくるというもの。

12時の時報を待ちながら、隣に立ってた日本人の男性に声をかける。大がかりなカメラを構えてたので、気になっていた。
「あ、私、旅行誌のカメラマンなんですよ。今度の皆既日食を撮ろうと思ってね」
あ、私と目的が一緒なんだ。
「ドイツで見るんですか」
「いや、オーストリアのほうに行こうかと思って」

一気飲みのパフォーマンスを見ているうちに、私は、なぜかリンゴジュースが飲みたくなった。
ほどなく訪れたランチタイムで、それを実現。
ダンナのほうは、ワインかと思ったらビールを手にして、同じツアーの家族連れとおしゃべり。
そのほか、コンソメスープ、やたら油っぽいタラのフライ、ジャガイモのサラダ、そしてあとをひく甘さのストロベリーのヨーグルトムースのデザートを食す。

ロマンチック街道には、もうひとつ立ち寄り先があった。
行程表の言葉を借りれば、「中世の町」ディンケルスビュール。

この町、結構いろんな観光ツアーで登場してくるけど、正直、ローテンブルクの後では、食傷気味で…。
確かに、お濠に囲まれた町はそれなりの規模を誇り、荘厳なゴシック教会やドイツ最古といわれる家もあり、ローテンブルクとはまた違った趣を持っているんだけど。
何しろ、雨が降っていたし、あんまり覚えてない。

印象に残ってるのは、日本語で「おにぎり」の張り紙がしてあった酒屋さん。

あとは、お濠の脇の広場で、子供たちが夢中になっていたボール遊び。
サッカーと思いきや、ずっとボールが小さくて、それを棒のようなもので打ってる…
「えっ、これって、野球じゃん!」

そりゃ、1チーム9人もいなかったし、ベースのようなものもはっきり確認できなかったけど、明らかにグローブはめて、打って走ってるから(決してクリケットではない。バットが全く違う)彼らは、野球の「ような」遊びに興じていたわけだ。
これには私のほうがビックリしてしまった。
ドイツってそんなに野球が盛んだっけ?

1時間ほどのディンケルスビュール滞在の後、午後3時半頃出発。
相変わらず安定しない天気。時折並行する鉄道線。
バスはアウトバーンと一般道を出たり入ったりしながら、南下を続ける。

「BMWとはババリア・モーター・ワークスの略で…」
「ミュンヘンの六大ビールといえば…」
添乗員さんがこういったウンチクを語りはじめ、窓の外に「ARAL」ブランドのガソリンスタンドが目立ちはじめ。

ミュンヘンに近づくにつれ、いつの間にか青空が広がっていった。