😷会社でインフルエンザが流行り出し、あっさり感染してしまった筆者ですが、家には高校受験を間近に控えた長男がおり、自室で隔離状態。籠っている自室は普段から使う自分専用の寝室なのでまあ快適ではあるんですが、、テレビが無い。仕方なく雑誌を読むのだが手を使う。→疲れる。普段はたいして必要性を感じなかったテレビが今は恋しい。ベッドに潜り込みスマホをポチポチ弄り出し←これも結構手が疲れるYahoo!ニュースなどを見ていたのだが、ようやくここでYouTubeに気づく。「1987日本シリーズ第5戦巨人–西武フルバージョン」これこれ、こういうのだよ観たいのは。テレビでは絶対観れないよな、30年前の日本シリーズなんて。まだ日本シリーズが平日のデーゲームで行われていた時代、当時中学生だった自分はリアルタイムで観れるはずもなくニュースでは観ていただろうが、30年前の出来事なので試合内容も全く記憶がない。しかもこの試合、後楽園球場最後の公式戦らしい。次の第6戦からは所沢開催になるため正真正銘の最後の公式戦なのだ。後楽園球場の後ろには東京ドームが完成している。
懐かしくもあり、新鮮さもある日本シリーズだ。こんな試合をベッドの中で観られるなんて、、、30年前は想像もできなかったな。あと30年後には… そう考えるとやはり長生きはしたいものだ。いや、年をとりたくない。そう、若返りが実現しているかも…?


先発投手は巨人は2年目の桑田、対する西武は19年目の東尾修。フレッシュとベテランという対照的な2人が投げ合うこととなる。桑田といえばPL学園時代1年生でありながらエースとして甲子園のマウンドに立ち、堂々とした怖いもの知らずの
投球で全国制覇したのは周知の通りで書くまでもないが、4月1日生まれの桑田は正真正銘最年少の甲子園優勝投手なのだ。だからこそ何かやってくれそうだと期待してしまう。第1戦では西武のデータを気にするあまり自分本来の投球ができず打ち込まれたらしい。今日はリベンジに静かに燃えているはずで表情からも伝わってくる。

対する東尾は超のつくベテラン投手である。だが正直、なぜここまで勝てたのか?この試合を観るまでは不思議であった。試合前には 「いつもはなかなか寝付けなくて、寝不足のままマウンドに上がるんだけど昨日はグッスリ眠れた。あ、打ち込まれた時の言い訳がきかなくなったな」とコメントして笑わせている。東尾もまた第1戦で先発し巨人打線に打ち込まれているのだ。ベンチ前でウォーミングアップする真剣な表情から時おりニコッといつもの笑顔が見られる。敵地のマウンドでベテランがどんな投球するのか?これまた見ものである。ちなみに第1戦は巨人第2戦第3戦が西武第4戦を巨人がとり両チーム2勝ずつで迎えたこの第5戦である。

1回表西武の攻撃。先にマウンドに上がったのは桑田。先頭石毛をスライダーを引っ掛けさせ三ゴロに打ち取る…と思われたが三塁手原がこれをお手玉、エラーで石毛の出塁を許してしまう。続く辻は送りバント。走者2塁で強打者秋山を迎える。秋山には甘く入ったカーブを右中間に二塁打され西武1点先制。なお走者2塁で清原を迎えた。KK対決である。失点はしたもののエラーで出た走者である。ここは切り換えてもらいたい。だが、桑田はここで2塁走者秋山を気にするあまり、牽制悪送球をしてしまう。走者3塁となり清原は外野フライでもいい。桑田は当然打つ気まんまんの清原を内角高めの速球で仰け反らせる。仰け反った反動でベンチ前までよろけ走る清原。打席に戻りながら桑田を睨み付けるかと思いきや、少し複雑な表情をした。むしろ目を合わせようとせず打席の土を足で丁寧にならしている。清原は次の外に逃げるスライダーを打たされニゴロに打ち取られる。直前の速球が生きた投球だった。だが安心したのもつかの間、続く安部には三塁線を破る二塁打で西武2点目。ブコビッチ中前打で3点目… 桑田もう余裕がなくなってる、泣きそう。続く伊東にも中前打…これをクロマティがまた緩慢な守備で一気に2、3塁と走者を進めてしまう。次打者清家は第1戦からここまで無安打だが巨人ベンチは清家を歩かせて東尾との勝負を選択する。
すごく嫌な予感がした。打席に入るのが普段は打席に立たないパリーグの投手とはいえ満塁である。また投手をやるような人は身体能力が高く元々バッティングが得意な人が多い。マウンドの桑田しかり。桑田もここは全力勝負である。東尾もファールで食らいついている。あわよくば四球を狙う気はさらさら感じない。そしてついに東尾が出したバットが高めの見逃せばボール球を捉えた。打球はライトポール際へ伸びる。ぐんぐん伸びポール際フェンスのわずかにファールゾーンに落ちた。ヒヤッとする当たりに東尾も残念そうに笑う。大きく息を吐き汗を拭う桑田。そして桑田が投じた6球目を東尾が今度は引っ張る。痛烈な打球は三遊間に飛び抜けた、と思ったら三塁原が横っ飛びで好捕、一塁送球も間に合いようやくチェンジとなった。…原… 最初のエラーがなかったら、立ち上がり乗れてたかもな…

ベンチに戻るとウインドブレーカーを着込んでベンチの奥に。交代だろうか…?

一方の東尾、ゆっくりと投球練習をしている。ここでテロップが流れたが、東尾のプロ19年間の日本シリーズ通算成績
15試合4勝4敗2S防2.04。素晴らしい成績である。東尾がいつも通り力を発揮すればもう3点先取した西武の勝ちが見えたといっても良い。さあ反撃なるか巨人!打席に1番駒田が入った。この駒田、第1戦では東尾を4安打1本塁打と得意にしている。初球は内高にスライダー判定はボール。2球目は内膝元にスライダー判定ストライク。3球目外のシュートを引っ掛けさせ二ゴロに打ち取る。駒田はスライダーを打ちに行くように身体が開き完全に騙された感じ。2番岡崎は右中間にライナーではじき返しヒット。これを中堅秋山が素早く正面に回り込み内野に返球するのだが、解説の衣笠祥雄氏はこれを絶賛。普通なら二塁打となる打球を素早く追いつき、身体を正面に入れ簡単にさばいた。あの余裕を見せられるとランナーは進めない。打席には3番クロマティ。やや甘く入ったシュートをセンターに打ち返す。落ちると思われたが深めの守備位置の秋山が猛前進しこれまた好捕。
走者進めず二死一塁となり4番原。4球目の外スライダーをうまく拾う。打球はライトへ大飛球、これを今度はブコビッチがジャンプしフェンスに激突しながら好捕した。
東尾も立ち上がり岡崎にヒットを許したが後続は味方守備の好守備にも助けられ無失点で切り抜ける。

2回から巨人は2番手に岡本がマウンドに上がった。桑田は1回3失点で降板である。岡本は安打と四球で二死満塁としたが何とか後続を切り、無失点で切り抜けると3回は西武打線を三者凡退で抑えた。4回からは加藤初。一死1、3塁のピンチを招くも落ち着いたマウンドさばきで清原を併殺に仕留めピンチを切り抜ける。

東尾は2回、吉村にライト前にはじき返され無死のランナーを出したが続く篠塚のピッチャーライナーを好捕、素早く一塁転送し飛び出した吉村は戻れず併殺になった。
第1戦で本塁打を浴びた中畑は内野フライに仕留める。
3回は山倉を左飛、代打岡本を三直で二死としたあと駒田にライト前に安打を許すが岡崎を左飛に仕留める。
そして4回、巨人は先頭クロマティがライト前に安打を放ち反撃の狼煙をあげる。原の打席で東尾は暴投しクロマティは二塁に進塁。原の中飛でクロマティが三進塁。吉村のレフト前安打で1点を返した。一死一塁で篠塚がセンター前に抜けるかという当たりに東尾が出したグラブをかすめ4-6-3の併殺で反撃を断たれる。

以降、巨人は加藤初ー西本ー鹿取とつなぎ西武打線に得点を許さず打線の反撃を待ったが、西武東尾は本調子ではなかったようだが、要所要所を締めのらりくらりと9回までたどり着く。120代の中盤から後半のスライダー、130代のシュートあるいはシンカーをコーナーに丁寧に投げ打てそうで打てない、スライダーのようでシュート、間合いをゆっくりとったり、テンポを速くしたり、ベテランらしい実に味のある投球である。9回は先頭クロマティがライト前安打で再びチャンスメイクをするも、原をスライダーで三振に打ち取りここで工藤にマウンドを託した。工藤は吉村中飛、篠塚を三振に切りピシャリと締めた。

結局この試合、明暗を分けたのは初回の攻防である。巨人はエラー絡みで先発桑田が乗り切れずノックアウト。クロマティの緩慢な守備もあった。一方西武は秋山、ブコビッチの好守備でピンチの芽を早めに摘み取った。2回にも走者を出すも、東尾自らライナー併殺に仕留め走者の進塁を許さなかった。どんな投手も立ち上がりは不安定だという。東尾は好守備に助けられ徐々に波に乗れた感じだ。代打福王のセンター前に抜ける当たりをセカンド辻のファインプレーが阻むのもあった。何より西武はセンター秋山の存在が大きい。東尾のテンポの良い投球が好守備を生むともいえるが、この一戦は点差以上に両チームの差を感じてしまった。

MVPはもちろん東尾だろう。時折ニコッとしたり石毛がファールフライに追いつくも捕り損なった時には舌を出したり、篠塚のライナーを好捕した後はグラブを外し左手を見せイテェ〜〜よなんてやっていた。

人は苦しい時ほど笑顔を見せると、いいアイデアが思いついたり力を発揮できると聞いたことがあるが、東尾はそうやってチーム全体をリラックスさせていたのかもしれない。東尾投手のすごさを思い知る一戦であった。