【ロングコラム】次のPGAツアーの注目選手はアジアからやってくる? | ジュニアゴルフ アジアジュニアゴルフ協会 吉岡徹治オフィシャルブログ Powered by Ameba

【ロングコラム】次のPGAツアーの注目選手はアジアからやってくる?

アメーバ「5月にプレーヤーズ選手権を最年少で優勝したキム・シーウから始まった」

 5月のプレーヤーズチャンピオンシップの3日目を終えて上位には、JBホームズを
 始めLウーストハウゼンやSガルシア、Aスコットなどおなじみの選手が上位に名前
 を連ねていました。

 そこで2打差の4位につけていた21歳の韓国人選手に注目するメディアも少ないの
 は仕方のないことでした。

 しかし、風が吹き荒れて多くの選手がスコアを崩した最終日を、ボギーなしのプレーで
 終えた彼は3打差の優勝をPGA選手権の最年少優勝を飾ったのです。

 しかもこれは21歳以下でPGAツアー2勝目を挙げたのは、近年では、4人目(タイガー
 、ガルシア、スピース)という快挙でした。

 てんとうむし★21歳の最年少でプレーヤーズ選手権を勝ったキム・シーウーのスイング改造



アメーバ「世界3位の松山までアジア人のこの結果は決してまぐれではない」

 振り返れば、2000年には、アジアの選手がPGAツアーをフル参戦していたのは3人でし
 た。2010年には8人に増えました。そして、2017年には今年は2人の中国人選手も含め
 て13人のアジアの選手がプレーしています。

 でも特に、日本人の松山英樹選手は、アジア人としてこれまで最高位の世界ランキング
 3位に上り詰めるなど素晴らしい結果を残しています。

 この結果は、決してまぐれではなくて、PGAが中国で2014年に始めた新しいツアーや、
 韓国で開催シタ新規トーナメント、また北京や東京に開いたPGAのオフィスなどの普及
 活動の成果であり、故に「驚くべき結果ではない」と言えます。



アメーバ「21世紀は,特に中国やインドを含むアジアの国々がゴルフ界を牽引する」

 さて、俗にいう「ホワイトカラー」の人たち(中産階級/ミドルクラス)はこの数十年
 日本や韓国では、大きな割合を占めていましたが、近年では、ベトナムやタイでもこの
 クラスの人が増えていて、実はゴルフの消費を支えています。

 19世紀は英国、20世紀は米国がゴルフを牽引してきましたが、21世紀は,特に中国や
 インドを含むアジアの国々がゴルフ界を牽引する勢いです。
 
 専門の試算によると、今やアジアの「中産階級/ミドルクラス」の消費は、北米の消費の
 2倍にも達し、2020年には3倍近くにもなり、彼らがプロゴルフツアーのスポンサーシ
 ップ企業を支えるだろうということです。
 
 ヨーロピアンツアーはアジアにおいて、最初に大会を開催した実績があります。1989年
 に「ドバイデザートクラシック」を開催し、3年後には、バンコクで「ジョニーウォーカ
 ークラシック」を東アジアで開催しました。

 さらには、2005年には「HSBC選手権」を上海で初開催した際には、当時世界NO,1の
 タイガー(結果は2位だった)を招待して開催し中国でのゴルフブームに火をつけました。

 2007年には、HSBCは中国ゴルフ協会と組んでジュニアゴルフプログラムをスタート
 さて、これまでに8万人を超えるジュニアがこのプログラムに参加しています。


Tiger Woods at 2009 HSBC WGC Mens Champions


アメーバ「オリンピックにゴルフが復活を契機にさらに拡大を図る!」

 ヨーロピアンツアーに対抗してPGAは日本と提携して、ソニーやブリヂストンなどの
 日本企業と長くにわたって共にトーナメントを開催してきました。さらに、2009年に
 PGAはR&Aと組んで「オリンプックゲームにゴルフが112ぶりに復活する」と発表しま
 した。

 これも地道なロビー活動(ゴルフの普及)の成果と言えます。

 HSBCのチェアマンは

「ゴルフがオリンピックの公式競技に採用された時点で中国は、中国などの国々は政府や
 オリンピック委員会からの資金であそのモデルに投資し始めました。今後そのほかの
 国々でも中国のように公的資金を使ってゴルフの選手強化や大会の運営を始める国々
 も増えると思う」

 と話しています。



 好調なアジアのゴルフマーケット に比べ、ヨーロッパと米国は近年停滞気味です。

 ライダーカップ開催の影響では、協会は収益が減り続け、ナイキは、ゴルフ界から
 撤退を余儀なくされました。さらに、アディダスはテイラーメイドに吸収され、
 小売のゴルフスミスも債務破綻しました。米国国内の新規開場のゴルフ場は22コース
 に対して、閉鎖は176コースでした。ゴルファーのラウンド数も2000年以来11%
 も減っています。
 
 しかし、PGAの視聴率は2009年を境に伸びてはいませんが、収益は驚異的でないに
 しても安定はしていて、昨年比で増えています。スピースやDJ、マツヤマ等若いスタ
 ー選手も出てきています。

 一方、日本と韓国のゴルフマーケットは、」世界でも2位、3位を占めています。特に
 韓国は、アパレル市場で1人当たり支出が1位。 また、アジアには109の計画コースと
 67の建設コースがあります。 (北米では99コース、57コースが計画されています。)


Rio Medal Moments: Justin Rose wins gold | Golf


アメーバ「1つの国のヒーロー(ヒロイン)が爆発的なゴルフブームを呼ぶという流れ」

 1998年に韓国の朴セリがPGA選手権と全米女子オープンの2つで優勝したのちに、
 アジアの選手の才能が爆発的に開花しました。

 当時は、朴セリを含めLPGAツアーの韓国選手は3人でしたが、現在では45名の
 韓国選手がLPGAツアーで支配的にプレーしています。

 1つの国のヒーロー(ヒロイン)が爆発的なゴルフブームを呼ぶというこの流れは
 LPGAのみならずPGAのツアーでも起こりうる話です、いきなりアジアの選手を
 50名も連れては来れませんが、一人のヒーローからそうなることもあり得るでしょう。

 毎年上海で開催されているHSBCチャンピオンズも2013年からはPGAツアーの賞金
 加算試合となりました。20年前に中国で初めて開催された時には、「将来中国の選
 手が優勝することを願っている」と当時のチェアマンがコメントしました。
 始めはリップサービスと受け止めていましが、2016年には松山選手が優勝するなど、
 今ではそうは思えない時代になりました。

 2014年にはPGAは中国ゴルフ協会と提携して「PGAツアーチャイナ」を立ち上げま
 した。昨年にはそのツアーから育った二人の中国人選手(張新軍選手、竇澤成 選手)
 がPGAツアーのシード権を獲得しました。



アメーバ「しかし、全てがスムーズに進むわけではありません。中国政府の圧力」

 しかし、全てがスムーズに進むわけではありません。2004年に中国政府は200
 コースに達したのを機会に、環境破壊を理由に全てのゴルフ場の新規建設を差し止
 めました。
 また、2015年には習政権が公務員のゴルフに関する接待やプレーを禁止するなど
 しました。

(しかし、その後オリンピックにゴルフが採用されて以来流れが変わってきました。
 中国政府もサッカーと同様にゴルフを強化する方向に変わってきたのです。)

 そして中国政府の弾圧にも屈せず、PGAは北京にオフィスを開いて中国における
 PGAツアーの放映権契約を結んび、アジア各国にライブ配信を始めています。
(中国のデジタル大手iQIYIとトーナメントをライブストリーミングする契約を結び
 ました。)また、中国ナショナルチームも米国のPGAツアー本部のある拠点で合宿を
 行ったりしています。

 昨年は、中国ゴルフ協会とのパートナーシップを結べなかった「PGAツアーチャイナ」
 でしたが、2017年のHSBCチャンピオンズの会場では、2018年に再び開催すること
 を発表しました。

 韓国も昨年はPGAツアー優勝賞金100億円の高額賞金試合の「CJカップ」を10年契約
 ののちに開催するなど積極的です。今年は早速仁川で開催され、10名の韓国選手が
 プレーしました。

 こういった国際的な大会に日本からもアジアの英雄でもある松山英樹選手が出場してい
 ます。(日本人は尾崎選手のように長らく海外に試合に向けて旅行しない?と言われて
 いました。)
 


 先のキム・シーウに話を戻しましょう、22歳ですでにPGAツアー2勝を挙げている彼
 ですが、最初にPGAツアーのQスクールを通過したのは17歳の時でした、でも、年齢が
 18歳に達していないということで、半年間試合には出られなかた?というエピソードが
 あります。

 なので、プレーズ選手権で首位に立っても「自分には十分な経験があるから」と特に
 緊張したり焦ったりはしなかったようです。

 プレーヤーズ選手権を勝った後にエコノミークラスの三人がけの中央の席で次の試合に
 移動する彼とファンの女性の写真は有名になりました。(チケットは優勝前に抑えてい
 たものです。)

そんなキムには、今後韓国で義務付けられている兵役が心配の一つかと思いきや、彼
 は「自分は若いから心配はしていない。」と答えています。オリンピックのメダリスト
 は兵役免除とのことですから、次の東京では金メダルは不可欠です。

 てんとうむし★2012年PGAツアーのQスクールは韓国の17歳の高校生が上位で活躍!





Kim Si-Woo 2011, Driver Golf Swing2 (16years old)


アメーバ「日本は今後10年でアジアに一人取り残されないような動きが不可欠!」

 バングラデシュ、インドネシア、タイに3つのゴルフアカデミーを持つ有名なゴルフコー
 チのレッドベター氏もキムはアジア人特有の才能を持っていると言います。

「彼に限らずアジア人は、練習熱心です。タイの9歳のジュニアが世界選手権で優勝したり
 中国には8歳〜9歳の驚くべき技術を習得していて、彼らは純粋にゴルフが好きで集中して
 いるのです。ジュニアもいます。アジアはこれから伸びる可能性を秘めていると話して
 いるのです。」

  さて、アジアをめぐるPGAツアーの今後の展開がこの記事で見えてきたと思います。

 世界からは、日本人はあまりアジアや世界に向かっていない?という印象で見られている
 こともわかると思います。

 オリンピックにゴルフが取り入れられて国を挙げて力を入れ始めた各国に日本は追いつい
 ていけるのか?10年後のアジアや世界のゴルフ事情を見据えながら、今後活動していく
 べきですね。

てんとうむし★The Next Wave Of Talented Players On The PGA Tour Is Coming From Asia


Hideki Matsuyama WGC-HSBC Champions 2017


 
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