桂島・野々島・寒風沢島(第3回) | 哲風のBLOG

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 「海と社(やしろ)に育まれる楽しい塩竈」を目指している宮城県塩竈市に鎮座する志波彦神社鹽竈神社の神事,四季の移り変わりや,仙台,塩竈,多賀城,松島など宮城県内各地の名所,旧跡,行事などを紹介します。

 5月6日(金),浦戸諸島(宮城県塩竈市)の有人4島のうち,桂島,野々島,寒風沢島を巡って来ました。今年2回目の浦戸諸島ですが,島を巡りながら,自然や歴史に触れるのは最高です。写真で報告します。今日は,その第3回です。

 

 船入島を望みます。

 

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 神明社(寒風沢神明社,塩竈市浦戸寒風沢字日和山)です。主祭神は天照皇大神,豊受大神です。建築年代を直接的に証するものは無く,恐らくは江戸中期の社殿建造で,千木・鰹木を乗せた「流れ造り」としては珍しい様式を有しているとのことです。応仁年間(1467年~9年)に楠木氏の遺臣が寒風沢に来島し,定住して稲荷神を敬神して「洲の崎稲荷」又は「宇南明神」と称していたが,後年神宮(伊勢神宮)と合祀して神明社と改めたという由緒があるようです。

 

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 元屋敷浜です。かつて集落があったという浜で,静かで眺めが良い所です。

 

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 長南家の墓です。「栽松道本信士」とありますが,「栽松道本」(さいしょうどうほん)とは長南和泉守菅原道本(すがわらのみちもと)の法名です。長南道本は,寛永17年(1640年)に,瑞巌寺(松島青龍山瑞巌円福禅寺)の雲居希膺(うんごきよう,雲居国師,把不住軒,瑞巌寺第99世住持職)から賞状を貰いました。賞状には,「松には赤松と黒松があるが,松島は元々赤松ばかりで黒松は無かった。ところが寒風沢の長南和泉守が浜松地方から黒松の種を持って来て,ここの海岸や島々に植えてくれた。それが大きくなって島々浦々が見事な風景となった。これは和泉守の大きな功績と言わなければならない。その後和泉守が法名を付けてくれるように希望したので,「栽松道本」と付けてあげた。」というようなことが書かれているそうです。即ち,世の人々が松島を天下の名勝と称え,今も松島が観光名所となっているのは,長南道本がこうして松を植えていたことも大きな力になったことは間違いありません。

 

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 寒風沢ステイ・ステーション(塩竈市浦戸寒風沢字中月)は,旧浦戸第一小学校の施設を活用し,大規模な改修を行って,浦戸諸島への定住促進と漁業後継者の育成を目的とした新たな施設として平成27年12月にオープンしました。

 

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 霊亀山松林寺(臨済宗妙心寺派,塩竈市浦戸寒風沢字愛宕)です。3月16日(水)の大きな地震の被害を受けています。まず,化粧地蔵です。白い粉を塗って祈願すると,美しい子が授かると言われているそうです。

 

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 延命地蔵です。この石仏は元観音堂参道にあったものを明治37年聖観世音菩薩像(行基作)と同時にこの地に遷座されたものであるとのことです。この地蔵像は享保年間(1716年~36年)江戸で作られ,千石船によってこの地へ搬送されましたが,この船は順風に恵まれ1日1夜で到着したと言われ,そのことから一夜地蔵の別名もあるそうです。

 

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 松洞山寒澤寺(真言宗,塩竈市浦戸寒風沢字愛宕)です。江戸時代鹽竈神社(塩竈市一森山)の別当寺であった法蓮寺(金光明山法蓮華院法蓮密寺)の末寺であったとのことです。鳥居があるので,神社かなと思ってしまいます。本尊は不動明王です。寒澤寺は明治時代初期に廃寺になっているはずです(法蓮寺は明治3年廃寺)が,現在も島民によって護られているようです。

 

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 さて,「百万遍供養碑」は「縦140cm,横85cm」とされています(平成22年3月宮城県教育委員会「特別名勝松島保存計画」,塩竈市HPなど多数)が,どれでしょうか?「鎌倉時代製」ともあります(「浦戸諸島〔資源目録〕」,「文化の港 シオーモ」など)。不思議なことですが,「浦戸諸島 島歩きマップ」に記載されている「寒澤寺百万遍供養碑」がどれか,はっきりしません。私は「百万遍供養碑」は写真ほぼ中央の光明真言供養碑であると考えていますが,「元禄十二」年(1700年),「長南喜右衛門五十六歳敬建石」とあるそうです。何故「元禄12年(1700年)建石」ではなく,「鎌倉時代製」なのかは不明です。

 

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 寒風沢島桟橋で塩竈市営汽船に乗ります。マリンゲート塩釜(塩釜港旅客ターミナル,塩竈市港町一丁目)までの運賃は630円です。

 

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 船から島々を望みます。

 

 

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 「松島四大観」の一つである「偉観・多聞山」(宮城郡七ヶ浜町代ヶ崎浜八ヶ森)を望みます。東日本大震災の復興支援のため,多くの鯉のぼりが掲げられています。

 

 

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 午後2時54分頃,マリンゲート塩釜に到着しました。所要時間は約46分です。

 

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 今回は,偶然の出会いがあり,とても楽しい島巡りであったことを付記します。機会があれば,また塩竈にお越しください。